私の故郷には、自転車道という自転車専用の道路があった。
車が通る国道には狭い路側帯しかない区間があり、自転車が安全に走行するには自転車道を通るのが理にかなっていた。
中学生の頃の私は、友人と連れ立ってこの自転車道をよいこらしょと走り、ちょっと遠くの町へ出かけることを楽しんでいた。
その道中で行きついたのが、「手結港」だった。
高知県香南市夜須町手結にある小さな港だ。
人の手によって掘削され、造られた日本最古の掘り込み港湾だそうで、コンパクトながらも港町の情緒をしっかりと感じられる。
自転車道を下りて、狭い坂道を抜けた先に見たこの港の風景を、ずっと忘れられないでいた。
キラキラと光る海面と、海鳥の声と、潮風の香り。
あの時感じた、なんともノスタルジックな気分。
あれからうん十年の時が過ぎ…
当時はなかった「可動橋」をようやく見に行こうかと、重い腰を上げて手結港へGO!!してまいりました。
こちらが、「手結港可動橋」。跳開橋(ちょうかいきょう)と呼ぶらしい。
橋の片側が跳ね上がり、その間に船が行き来する。
展望台から見る可動橋。
橋なので当然といえば当然だけれど、歩道やガードレールも一緒に上がっているのがなんかおもしろい。
SASUKE好きな息子が、「反り立つ壁だ!」とはしゃぐ。
約32.8mの反り立つ橋は、いくら眺めても飽きない。
手結港の説明書きを読む。
土佐の治水事業の立役者・野中兼山の活躍ここにあり、といったところ。
古くからの港ということで、地元の人達に大切にされていることがよくわかる。
写真の常夜燈は大正時代に寄贈されたもの。
2002年(平成14年)完成の可動橋と一緒に眺めるのも、また味わい深い。
港内は潮風が穏やかに流れ、とても静か。
訪れた日は、昼前ということもあり、出入りする船は無く、より一層静かさを感じられた。
風も無く、岸壁に波が当たる音さえ聞こえない。
昔、確かに見たあの風景。
うん十年の時を超え、今またあの時の気分を反芻できるなんて、ありがたいことだなあ。
思い出散歩を楽しんだ、「ちょいとそこまで旅」でした。
可動橋はただいま工事中のため、残念ながら橋を渡ることはできず。
2024年11月1日~12月20日
跳ね上りっぱなしの可動橋を存分に味わうにはいい機会ですので、是非ご来訪を。
付近に駐車場もあります。